コラム

2025年3月24日

AS NMOS Link Node Systemの特許を取得しました!

AS 2110 VANC Inserterの画面

AS NMOS Link Node Systemで使用されている、異なる設備間で映像の授受などの制御を行うことができる技術を特許出願しておりましたが、2025年3月10日に無事特許を取得し、先週特許庁より特許証が届きました!

MoIP制御装置、およびプログラムの特許証

従来のSDIを用いた設備(マスター、サブ、回線等)では、I/Fの接点はSDIであったため、各設備はSDIの受け渡しで完結しており、独立することができました。しかし、それをIP化する場合、どのように設備間でマルチキャストパケットを送受し、どのように制御をお互いに行うのか非常に難しい課題があり、それを解決できるのが本特許技術です。
とても簡単に書くと、IPでもSDIのように扱うことができる、のが特徴です。
本製品はマルチキャスト信号を直接扱わず、制御面のみで動作します。制御面ではまるで「レシーバー」のように見える「仮想レシーバー」と、まるで「センダー」のように見える「仮想センダー」、および受信切り替えを行う「レシーブリンク機能」で構成されています。仮想レシーバーが受け取ったマルチキャストアドレスなどの情報を、仮想センダーがまるで自分が出力しているように見せるようなイメージです。

これを用いることで、設備間のリソースシェアや、送信元で系切り替えも可能な映像の受け渡し、などを簡単に実現することができます。さらにリンクノードシステムは、他のIP機器からはただのレシーバーやセンダーにしか見えませんので、すでにある既存のIP設備に後から導入することも容易です。

たとえば、既存のIP設備A(例えばサブ(副調整室)をイメージしてください)とSDI設備B(例えばマスター(主調整室)をイメージしてください)があり、設備A構築時は設備BはSDIであったため、IPゲートウェイ(SDI-IP変換、IP-SDI変換)をもちいて、設備BへSDIで出力していたとします。その後、設備BがIP化するにあたり、どのように設備Aの映像を設備Bへ送るかが課題となります。設備Aと設備Bが同じベンダーで構築するなら、一緒に調整をお願いすることはできなくないかもしれませんが、常に新しく設備がIP化する度にそういった調整を行ったり、全てを同じベンダーに依頼することは規模が大きくなると現実的ではありません。

リンクノードシステムを用いれば、設備AのIPゲートウェイを、リンクノードシステムの仮想レシーバーに置き換えることができます。設備A側から見ると、レシーバーのIDが変わるだけの変化で済みます(IPゲートウェイの故障交換と同様な作業)。 設備B側には、設備A側の仮想レシーバーとリンクした仮想センダーを配置します。これにより、設備A側が、設備Bに送りたい映像にこれまでと同様に切り変えれば、リンクノードシステムを通じて設備B側に制御が届き、結果、設備Aの映像を受信することができます。もちろん、相互に設備Bからの映像を設備Aが受信することも容易です。

これはIPにおける課題であるセキュリティ面でも有用です。メディア信号のネットワークは相互に接続されている必要はありますが、制御面は設備内で独立させて外部から遮断して、リンクノードシステムのサーバーだけが相互に接続されている形が成立しますので、外部からの侵入がしづらくなります。

制御ネットワークに何もセキュリティ対策をしていないと、例えば悪意のある人物が、稼働していないサブに潜り込んで、サブ内のスイッチから、悪意のある映像をマルチキャストで流し、さらにマスターの受信装置をジャックして、そのマルチキャスト信号を受信するように制御しOAしてしまう、ということができてしまいます。上記のようにマスターサブ間をリンクノードシステムが取りもち、サブからマスターの制御面に侵入できなければ、マルチキャストをいくらネットワークに流しても上流には届きませんので攻撃が成立しません。

このように、IP放送局設備における様々な課題を一気に解決できるAS NMOS Link Node Systemは、この夏に発売開始予定です。

また、マスター、回線、スタジオ等の構築ベンダー様によるリンクノードシステム組み込みのご相談も承っております。
お気軽にお問い合わせください。

これからも株式会社アンバーサインはユニークな製品で皆様の運用を便利にしていきたいと考えておりますのでどうぞよろしくお願いいたします。

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